2018/02/07

『死体は語る』/上野正彦




TBSドラマ『アンナチュラル』、面白いです。
法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみ)が、”不自然な死”(アンナチュラル・デス)の究明に挑むストーリーで、今のところ一話完結型となっています。




科学的分析やヒラメキに感心し、どんでん返しに驚き、遺族の心理描写に涙し、少しずつ明かされるミコトや中堂(井浦新)の過去にドキドキしながら、毎回楽しく見ています。



本筋とは関係ないのですが、ミコトが中堂、久部(窪田正孝)のどちらかと恋仲になるのかどうか…も気になるところです。
井浦新も窪田正孝も非の打ち所がないイケメンで…(すみません。かなり私見と独断です)。彼らが画面に映るたび「ああ~イケメンだなぁ~」と惚れ惚れしてしまいます。



法医学者つながりで、『死体は語る』を久しぶりに本棚から取り出して、読み返しました。

著者は法医学者の上野正彦先生。東京都監察医務院で院長を務められた「死体の専門家」です。

本書は、上野先生が監察医院長時代、雑誌「厚生福祉」に寄稿した文章をまとめたものです。

特徴的なのは、死体を題材にしているとは思えない筆致の軽さ。

理系の人が書く文章、って感じがします。一文が短くまとめられ、無駄がない。状況説明、事実関係だけで構成されているため、小説を読み慣れた人には、ぶっきらぼうで味気ない文章に思えるかもしれませんね。

でも、根底には司法解剖の意義や、監察医制度の重要性を一般に広く知らしめたい、という先生の熱い思いが込められているのです。


生きている人の言葉には嘘がある。
しかし、もの言わぬ死体は決して嘘を言わない。
丹念に検死をし、解剖することによって、なぜ死に至ったかを、死体自らが語ってくれる。
その死者の声を聞くのが、監察医の仕事である。
話をじっくり聞いて、死者の生前の人権を十分に擁護するとともに、多くの解剖結果から、健康であるための方法を生きている人のために少しでも還元することができれば、直接病人を癒すことができない私でも、医師としての使命を十分に果たすことができると思っている。

<死者との対話>


「生きている人の言葉には嘘がある。」の一言はグサリと胸にささりました。


解剖によって、身元不明の遺体が個性を持った一人の人間として浮かび上がってくる様子は、法医学の醍醐味といってよいでしょう。

一方、生者が自分の都合で、自殺を事故に、殺人を自殺・事故に見せかける手口が数多く紹介されています。これらはたまたま、監察医の手で真実が明らかになった事案ですが…。

不自然死・変死として届けられず、荼毘に付された遺体がどれほどあるのでしょうか?

監察医制度のない地域で、検死の知識が乏しい医師が担当し、行政解剖されずに葬られた遺体は?

考えるとぞっとします。

Wikipediaによると、監察医制度が導入されているのは東京23区・大阪市・名古屋市・神戸市の4都市のみだそうです。


この本が出版されたのは1989(平成元)年。
社会通念など、今となっては「昭和臭」がキツく感じる部分も多いです。
それでも、法医学は決して死者のためだけではなく、社会に必要な学問なのだと教えてくれる良書です。


死体が主役ですが、写真はなく文字だけの本なので、グロ耐性のない方でも安心して読めますよ。


ドラマを見て、法医学の世界に興味を持った方におススメの一冊です。





2 件のコメント :

  1. 大学時代の専攻(ゼミ)が犯罪学で、この本は教科書の1つとして指定されていました。今までで一番読みやすかった教科書です(^^♪

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    1. >Taroさん
      大学の教科書だったんですか!\(◎o◎)/
      こういう本をチョイスする先生のゼミならば、きっと面白い授業だったんでしょうね~^^♪

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