2018/01/10

『新しい文章力の教室』/唐木 元



作文の勉強用に購入した本です。読み終わりましたので、ためになった点や感想を書きますね。



本の主旨


まずは「ナタリー」についての説明から。

ナタリーとは、WEB上で音楽、コミック、映画、お笑い、ステージに関するニュース記事を配信しているサイトです。


著者の唐木さんは、初代コミックナタリー編集長をつとめた方。

6年半で約2万本の記事を校正された、文章のプロです。

「唐木ゼミ」と呼ばれる社内研修で教えてきた文章の書き方をまとめたもの、それが『新しい文章力の教室』なのです。

第1章は文章の構造、第2章~第4章は文章を磨くコツやチェックポイント、第5章は付録的な内容で、タイトルの付け方、紙面レイアウト、記事以外の文章(企画書、レビュー)の書き方、といった構成になっています。

一般向けに書かれた本ではなく、もとは未経験者を記者に育てるための社内教育教材だった、というところが特徴ですね。

文章といっても小説、脚本、手紙、日記、色々ありますが、この本が指す「文章」とは、WEB上で配信するニュース記事のことです。

WEBは新聞や雑誌のように字数制限がありません。書き手はいくらでも長い文章が書けます。

一方読者からすると、情報量の割に長ったらしい文章や、文法の誤りがある文章、テンポの悪い文章は、途中で読む気がうせてしまいます。

ニュース記事は情報を伝えられなければ、無価値です。

読者が離脱しない、読者に「完読」してもらう文章を書けるようになること。

それがこの本の目的です。

私が書いているのはblogですから、本の目的とは厳密にいうと異なります。

しかしWEBに特化した作文のスキルは、blogにも応用が可能だと思います。



作文をプラモデル化する


私の一番の悩みは、文章の構造を組み立てるのが苦手、ということです。

書き出しをどうするか、最終的な着地点をどこにするか。

本で紹介されていたのは、なんとなく書き始めるのではなく、書く前に文章の型を決める方法。具体的には以下の1~3です。

1.書きたい内容を箇条書きにする(順不同)
2.1の中から主眼を切り出す
3.1を伝えたい順番に並べ替え、骨子をつくる

主眼は文章の目的です。伝えたいことは何かを決めます。

骨子は主眼に到達するための手段です。何を、どれくらい、どの順番で書くのかを決めます。

1~3の作業を、本の中では「作文のプラモ化」と表現しています。

プラモデルのように文章をパーツに分けて、完成までの工程を組み立て説明書(骨子)にし、完成イメージ図(主眼)を用意しておくのです。

いきなり書き出す・書きながら考えることを、丸太から彫像を削り出すレベルの困難さだとすると、プラモデルの方がだんぜん楽ですよね。

今後、ぜひ参考にしたい手法です。

この文章ですか?

書きながら考えてます^^



記者の苦労が分かる本


ところで記者の仕事って、どんなことを思い浮かべますか?

アーティストへのインタビュー、ライブレポート、作家の対談企画…この本を読む前は、なんとなく華やかな印象がありました。

ナタリーにもこのような特集記事があります。しかしニュースサイトですから、あくまでニュース記事の執筆がメインです。

○○が○○でイベントをやる
フェスの参加アーティスト追加情報
○○の新刊発売日決定
etc.

「最新ニュース」カテゴリにあたる記事ですね。

「ニュースサイトなんてプレスリリースの引き写しが大半で、ただのリライトである」
…SNSの書き込みから引用したそうです。唐木さんが「こういう意見もある」と紹介していました。

似たようなことを考えてしまう記者がいるんだろうなぁ、と推察しました。自分の書いている記事に、プレスリリース以上の価値はあるのか?って。

ニュース記事にオリジナリティを持たせることが、どれだけ大変なのか、想像がつきます。

唐木さんは、「たとえプレスリリース由来の原稿だとしても、記者が自分の頭で考え、主眼を設定し、切り口を提示しているのなら、そこにはオリジナリティが宿っている」と訴えていますが、「だったらその主眼と切り口の部分、第1章だけで終わらせないでよ!もうちょっといろんな例文使って教えてよ~」って思ってしまいました。

…唐木ゼミを受講した新米記者さんの意見も、聞いてみたいものです。



ニュースソースに対する誠実さを感じます


第5章はテクニカルな部分について、付録的にサラッと書かれていますが、かなり参考になります。

特にタイトルの付け方(タイトリング)の節。
内容は割愛しますが、ここで唐木さんの、というかナタリーのポリシーが感じられます。

タイトルは記事を読んで貰うための重要な要素です。でもタイトルばかりに気を配るのは違う、と私は思うのです。

センセーショナルな語句を用いる、ワザとぼかした言い回しをする、別の固有名詞と勘違いするような書き方をする…。
某ニュースサイトに、こういう「煽りタイトル」が多くて辟易しています。

タイトルで読者の目を引き、クリックさせる。でもタイトルと内容がリンクしていないと、読者はガッカリするし、サイトへの不信感にもつながるでしょう。

この本を読んでから、ナタリーのトップページを眺めてみました。
ナタリーには「煽りタイトル」は一切使われていません。一見すると地味な印象ですが、記事の内容を端的に、かつ興味をひくように練られているのが分かります。

記事は読者のために書かれるべきで、記事と読者とをつなぐのがタイトルの役目。

確固たるポリシーがなければ、こういうタイトリングにはならないと思います。

ぜひ一度、ナタリーを訪問して確かめてみてください。




おわりに



この本を読み終えて思ったこと、それは「ニュース記事は、読んでもらうために地道な努力を重ねているのだな」ということです。え?普通?
今後は、ニュース記事から情報を得るだけでなく、語句の使い方、情報の伝える順番など、記者がどのような工夫をして文章を書いたのかも注目して読んでみたいと思います。

それからblogなんて、何の制約もなし、自由気ままに書いて良いのだから、もう少し肩の力を抜いて、文章と向き合ったほうがいいのかな…とも思いました。
イヤイヤ、しっかり「主眼」と「骨子」を考えないと!小学生の日記みたいになっちゃいますよね…気をつけます^^。